ご挨拶

吟味した素材を、手間を惜しまず丁寧に仕上げた料理は、いずれも和食の「真髄」が感じられるものばかりです。
コクと旨味、奥行きのあるその味わいは、旬の素材が秘めた力を、極限まで引き出します。
料理長の鋭い感覚と技が生み出す四季折々の味をご満喫ください。

店主 藤木尚武

「懐石 ふじ木」こだわり

お座敷は数寄屋造り、書院造り、茶室風など掘りごたつの個室となっており、
ご接待や御会食会、御宴会など、雰囲気に合わせたきめ細かいおもてなしを心がけております。

又、時季折々にサービスコースもご用意し、ご予算に応じてご調整承っております。

“美味しい日本料理と、やさしい心”を提供させていただく店づくりに一同努力精進しております。
接待、ご家族同士のお顔合わせ等、各種お集りに、是非のご来店をお待ちいたしております。

当店名物の「ねぎま鍋」について

江戸時代、江戸前のにぎり寿司は醤油ではなく塩や酢で〆るというスタイルでした。
当時、マグロは江戸では下魚として扱われることが多く、〆てしまうとどうも美味しくないのです。
キスやサバ、ヒラメなどと違い、マグロは江戸から近い野田産の醤油に漬けて食べる、いわゆる「ヅケ」として食すのが一般的でした。

「鬼平犯科帳」でおなじみの池波正太郎氏(1923 - 1990)は食通としても知られています。
時代小説以外にも食に関する作品を数多く残されました。浅草在住の氏が子供の頃、歌舞伎など芝居好きということもあり、ここ築地〜銀座界隈でヅケマグロの握り寿司を屋台で食べたというエピソードが残っています。
「〆」「ヅケ」という作業は味だけでなく、冷蔵庫のない江戸時代では食材を殺菌するという重要な役目(ワサビも強力な殺菌作用があります)も持っており、今のように「生」の状態で食べるようになったのは、戦後になってからのことであります。

現代では高価な「トロ」の部分は、醤油に漬けても脂が多すぎて巧く醤油が染み込んでいかない。
そこで江戸っ子たちはこの寿司では使われないトロの部位をネギと一緒に醤油、味醂、酒、出汁で煮て食べる「ねぎま鍋」を考案したのです。
このネギとトロと醤油の旨味とバランスがとにかくすばらしいです。赤身ではこうはいきません。
脂の少ない赤身を煮てしまうと、パサパサになってしまうのですね。

偉大なる先人達に感謝し、遠い昔に思いを馳せつつ、
今日もお客様に喜んでいただける「ねぎま鍋」をご用意して、皆様のお越しをお待ちしております。